2026年オープンウェイトLLM完全比較:Llama 4・Qwen3.5・GLM-5・DeepSeekを使い分ける方法

オープンウェイトLLMが「商用モデルの代替」になった年

2026年は、オープンウェイトLLMが「性能を妥協してコストを下げる選択肢」から「商用モデルと同等以上の選択肢」に変わった年として記録されるでしょう。

BenchLMのオープンウェイトリーダーボードでは、首位のGLM-5(Reasoning)がスコア82を記録。これはGPT-5.4やClaude Opus 4.6に肉薄するスコアであり、「オープンで無料なのに商用モデルに勝てるモデルが存在する」という状況になっています。

加えてOpenAIまでもがgpt-oss-120bでオープンウェイト参入を表明し、競争はさらに激化。開発者・企業にとっては豊富な選択肢が生まれ、AIの民主化が急加速しています。


2026年主要オープンウェイトLLM一覧

GLM-5(Zhipu AI)

中国の清華大学系スタートアップ、Zhipu AIが開発した現オープンウェイト最強モデル。

  • BenchLMスコア:82(オープンウェイト首位)
  • 特徴:推論特化型のReasoningバリアントが特に高性能。Claude Opus 4.6のコーディング性能の94.6%を達成。NVIDIAチップを一切使わずに学習されており、制裁リスクに強いアーキテクチャとして注目。
  • ライセンス:商用利用可(一定条件あり)
  • 最低VRAM:70B版で4bit量子化なら24GB

Qwen3.5 397B(Alibaba Cloud)

Alibabaが開発するQwenシリーズの最新フラッグシップ。

  • BenchLMスコア:77(オープンウェイト2位)
  • 特徴:397Bというパラメータ数を持つMoEモデル。日本語・中国語・英語のマルチリンガル性能が特に優秀。コーディング・数学・推論をバランスよくカバーする。
  • ライセンス:Qwenライセンス(商用利用可)
  • 最低VRAM:4bit量子化で複数GPU推奨

DeepSeek V3.2(DeepSeek)

中国のDeepSeekが開発。コスト効率の帝王。

  • BenchLMスコア:66
  • 特徴:API利用では商用クローズドモデルより最大90%安い。コストを抑えながら高品質な出力が必要なプロダクション用途で依然として強い需要がある。DeepSeek Coder 2.0はコーディング特化で人気。
  • ライセンス:MIT(オープンウェイト)
  • 最低VRAM:V3.2の4bit量子化で80GB(大型)

Llama 4(Meta)

Metaが継続開発する最も有名なオープンLLMシリーズ。エコシステムが最大。

  • BenchLMスコア:43(フラッグシップ版)
  • 特徴:スコアは他に劣るが、Llama 4シリーズ(Scout、Maverick等)の規模別モデル展開と膨大なコミュニティ・ツールエコシステムが強み。微調整済みモデル数が最多。Llama 4 Scout(17B×16E MoE)は単一GPU実行可能。
  • ライセンス:Llama Community License(商用利用可)
  • 最低VRAM:Llama 4 Scout(17B)なら8GB

Gemma 4(Google)

GoogleのオープンウェイトシリーズGemmaの最新版。

  • 特徴:27Bモデルが Llama 4 405B・DeepSeek V3・o3-miniを LMArenaベンチマークで上回る快挙。コンパクトながら高性能で、Raspberry Pi 5での動作も確認されている軽量版も存在。
  • ライセンス:Gemma Terms of Use(商用可)
  • 最低VRAM:27Bなら16GB(4bit量子化)

Mistral Small 4 / Mistral Large 2(Mistral AI)

フランス発のAI企業Mistralが開発。エッジ・モバイル向けに強み。

  • 特徴:3B・8Bクラスのモデルがスマートフォン上での動作を実現。軽量モデルの品質では業界トップクラス。ヨーロッパのデータプライバシー規制に準拠した設計。
  • ライセンス:Apache 2.0
  • 最低VRAM:Mistral Small 4なら8GB

用途別おすすめモデル

汎用推論・複雑なタスク

GLM-5(Reasoning)またはQwen3.5 397Bを推奨。純粋な性能を最大化したい場合に選択してください。

コーディング・プログラミング

DeepSeek Coder 2.0またはQwen2.5-Coderが専門特化で安定した高精度を発揮します。汎用モデルと異なり、コード補完・デバッグ・コードレビューに特化したファインチューニングが施されています。

日本語処理

Qwen3.5またはGLM-5が日本語品質で優秀。Llama 4やGemmaは英語基軸のため、複雑な日本語文章では品質が落ちることがあります。

ローカル・個人PC実行(RAM 8〜16GB)

Llama 4 Scout(量子化版)またはMistral Small 4。OllamaやLM Studioを使えばMacBook M3・M4でも快適に動作します。

エンタープライズ・オンプレミス展開

Llama 4はエコシステムとサポートの豊富さ、Qwen3.5はアジア言語対応の優秀さで選ばれています。セキュリティポリシーで外部APIに接続できない業務でのローカル展開に最適です。


ローカル実行環境のガイド

Ollama(最も簡単)

macOS・Windows・Linux対応の無料ツール。インストール後、コマンド一つでモデルをダウンロード・実行できます。

# インストール後
ollama run llama4:scout     # Llama 4 Scout
ollama run qwen3:8b         # Qwen3 8B(軽量版)
ollama run deepseek-coder-v2  # DeepSeek Coder

LM Studio(GUIで操作したい場合)

HuggingFace上のモデルをGUI上で検索・ダウンロード・チャットできます。量子化形式(GGUF)のモデルを自動で探してくれます。

vLLM / llama.cpp(本番サーバー向け)

プロダクション環境でのホスティングには、vLLM(PyTorch推論最適化)またはllama.cpp(CPU/GPUハイブリッド)を使ったサーバー構築が一般的です。


最低ハードウェア要件まとめ

モデル パラメータ 最低VRAM(FP16) 量子化(4bit)
Llama 4 Scout 17B(MoE) 40GB 12GB
Gemma 4 27B 27B 54GB 16GB
Mistral Small 4 22B 44GB 14GB
DeepSeek V3.2 236B 500GB以上 80GB
Qwen3.5 72B 72B 144GB 48GB
gpt-oss-120b 117B 234GB 80GB

2026年のオープンウェイトLLMを取り巻く情勢

米国の輸出規制とその影響

GLM-5がNVIDIA製GPUを使わずに学習されたことが話題になった背景には、米国の対中半導体輸出規制があります。Huawei製チップや国産アクセラレーターを使ったAI学習が現実のものとなっており、地政学がAI開発に直接影響を与えています。

「ローカルAI」としての価値

インターネット接続なしで動作するオープンウェイトモデルの価値は、プライバシー保護・セキュリティ・インターネット接続が不安定な環境での利用など、クラウドAPIでは解決できないニーズに応えます。


まとめ

2026年のオープンウェイトLLM市場は「どれも使える」レベルまで成熟し、用途と制約条件で最適解を選ぶ段階に移行しています。

まずOllama + Llama 4 ScoutまたはMistral Small 4から始め、性能不足を感じたらGLM-5Qwen3.5の大型モデルに移行するというアプローチが、ほとんどの個人・中小企業に合った道筋です。

オープンウェイトモデルは今後も急速に進化します。2026年末には現在のトップモデルをさらに上回る性能のモデルが登場することはほぼ確実であり、この分野のキャッチアップを続けることがAI活用の競争力に直結します。